Profile

交通論のゼミに所属し、東京という都市の発展が、鉄道網の発達によって支えられた世界でも稀な事例であることに興味を持つ。自分には何ができるのか、何をしたいのかを考えたときに、世の中の役に立ち、多くの人に必要とされる仕事に就きたいと思い、首都東京を支えるネットワークを持つ会社を選んだ。

大井 康弘YASUHIRO OI

経営管理部 部長/
株式上場準備室 室長
商学部卒 1993年入社

Leader Interview 01


必要とされる人になる


大井 康弘YASUHIRO OI

経営管理部 部長/
株式上場準備室 室長
商学部卒 1993年入社

社会に必要とされる会社であり続けること。そのために自分たちには
何ができるのか、どう行動すべきなのかを考えられる人になって欲しい。

民営化後の会社のあるべき姿を求めて
民営化後の会社のあるべき姿を求めて

最初に配属になった経理部では、資金課で資金繰りや資金調達を、会計課では固定資産管理や税金関係を、主計課では予算管理や補助金関係の業務を経験しました。鉄道会社に入ったのだから、鉄道サービスをより良いものにしていく仕事に就きたいと思っていたので、帳簿や数字と睨めっこするばかりの現実をどう受け入れるべきか悩んだこともありました。ところがその後、総合企画室に異動となり、半蔵門線の延伸や副都心線の建設に向けて、補助金や財政投融資といった政府関係予算の業務に就くこととなり、経理部時代の経験や財務の知識が私の武器となりました。そしてこの武器は、営業推進担当として運輸収入の拡大に取り組むときにも、経営計画の策定に携わるときにも、私をしっかりと支えてくれました。
その後、小泉内閣が誕生し、規制緩和や税制改革などの「聖域なき構造改革」が推進される中で、社内にも民営化に向けた業務変革プロジェクトが立ち上がりました。私は、すぐそばでプロジェクトの動きを見守るだけでは飽き足らず、無理を承知で志願したところ、このプロジェクトの一員として加わることになりました。ブランディングから組織論、経営戦略まで、現在の東京メトロの骨格となる仕組みづくりについて先輩たちと昼夜を問わず真剣に議論し、将来の会社のあるべき姿を見定めようとした経験が、私自身を大きく成長させてくれました。

あたりまえを、あたりまえにやり続けること

2006年からの3年間は、営業部で仕事をしました。営業推進担当として、主に旅行者向け乗車券の売上のため旅行会社を回ったり、ソラチカカードの発行時に航空会社と提携したイベントを企画し実施したり、特急ロマンスカーを地下鉄に走らせるための協議を行ったり、副都心線開業時には百貨店の人たちと組んだイベントも企画しました。それまでの担当業務が、主に社内に向けての業務だったのに対して、外に目を向け、多くの外部の方々と協力しながら仕事を進めることができました。PASMOを使ったスタンプラリーに人を集めすぎてたくさんの方にご迷惑をおかけしたことも忘れません。
これらのプロモーションを実施するためには、現業や営業部内はもちろん、鉄道本部内の各部との連携協力が欠かせません。それぞれの職場に入り込んで本音でぶつかることで、職場が抱える事情や今後に向けての解決策が見えてくるようになりました。
その後、経営管理部に戻り、経営計画の策定業務に携わることになりました。2011年3月に東日本大震災が発生し、私たちは上野の本社から徒歩で東京駅に応援に行き、徹夜でお客様の対応にあたりました。このときにお客様からいただいた「電車を動かしてくれてありがとう」という言葉は、いまでも忘れられません。まさに東京メトロの存在意義を感じることができた瞬間であり、列車を動かすというあたりまえのことを、あたりまえにやり続けることの難しさを肌で感じました。この経験は、その先の10年を見据えた長期設備投資計画の策定にも活かされたと思っています。

チームで結果を出すためのマネジメント

6年を過ごした秘書室では、当時の奥社長の秘書を務めました。秘書は、自ら表舞台に立つプレイヤーではなく、プロデューサーや演出家のように舞台裏で主役を支える役割を担います。また他の秘書や運転士、受付の方までが一体となり、チームとしての成果が求められる仕事です。鉄道の仕事は掛け算であると言われるように、誰かがミスをすればそれまで積み重ねてきたすべての人の努力が無になります。そういう意味では、秘書の仕事もチーム全員でミスを起こさないような連携プレー求められるため、チームマネジメントという面で非常に濃い経験ができたと思っています。
また、毎日のように難しい経営判断を求められ、どうしたらベストな答えがだせるのかを、日夜真剣に考えられている社長の姿を、間近で拝見できたのは、私にとってかけがえのない経験でした。どうしたら社長の判断に役立つのか、秘書として、事前に何かできることがないのかを、日々考えながら行動していました。社長の海外出張に随行する機会も多く、欧州からアメリカ、中国やベトナム、シンガポールなどを訪れました。各国で、普通ならお会いできない国の要人や著名人との面会の場に同席できたことは貴重な経験でした。

必要とされる会社で、
必要とされる人を育てる

現在は、経営管理部長として、2030年を目指した経営戦略やサステナビリティ戦略、 3カ年の経営計画の策定、取締役会や経営会議といった会議体の事務局運営を担うと同時に、株式上場準備室長として、いつでも株式上場ができるような体制を構築し、来るべき株式上場に備え、さまざまな改革に取り組んでいます。
本格的な人口減少・高齢化社会の到来、デジタル化の進展、さらには2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の拡大などにより、社会構造や人々のライフスタイル、働き方、価値観が大きく変わることになりました。激甚化する自然災害や気候変動と相まって、東京メトロが果たすべき役割は、ますます重要なものになっていくことでしょう。安心で、持続可能な社会の実現に向けて、これからも東京に集う人々の生活や経済活動を支え続けていかねばなりません。
私は、何か人の役に立つような仕事がしたいと考えて、この会社を選びました。社会に必要とされる会社で、必要とされる人になること。それが目標でした。いま、SDGsやESGを経営そのものとして取り込んでいくために、さまざまなプロジェクトやワーキングを立ち上げて議論をはじめています。その取り組みの中で、この会社の将来を担うことになる多くの若い人たちに参加を呼びかけて、東京メトロの未来について、なるべく自由に議論してもらい、それを反映したりもしました。これからも社会に必要とされる会社であり続けるためにも、これから東京メトロに入ってくる方たちには、かつて私が民営化に向けたプロジェクトに手を挙げたときのように、10年後の未来を自分たちが築いていくのだという自覚と責任を身につけて欲しいと願っています。